静岡県には、浜名湖の水道部、遠州灘沿岸の漁港、焼津・用宗・清水の港湾部など、岸からマダコを狙える場所があります。マダコは広い範囲を回遊する魚ではなく、岸壁の基礎、捨て石、消波ブロック、岩穴、貝殻が集まる海底など、身を隠せる場所に付くことが多い魚です
岸からのマダコ釣りでは、タコエギを遠くへ投げ続けるより、足元から届く範囲の底を細かく探ることが釣果につながります。岸壁の継ぎ目、護岸の角、スロープの脇、石積みと砂地の境目など、海底の変化を見つけることが重要です
ただし、静岡県では地域によってマダコが共同漁業権の対象になっています。マダコの釣果情報がある港でも、一般の釣り人が採捕できるとは限りません。漁業権、港湾施設の立入規制、釣り禁止区域を確認し、採捕が認められた場所だけを利用する必要があります
静岡のマダコ釣りで確認したい漁業権
静岡県沿岸には複数の共同漁業権が設定されており、地域ごとに採捕できない水産動植物が異なります。共同漁業権の対象種に「たこ」が含まれる海域で、漁業権者以外がマダコを採ると、漁業権侵害に問われる場合があります
県の共同漁業権一覧では、熱海市、伊東市、東伊豆町、河津町、下田市、南伊豆町、西伊豆町の仁科・田子、伊豆市、戸田を含む沼津市西部、沼津市の大部分、富士市、由比周辺、吉田町、牧之原市、御前崎市などで「たこ」が対象種に含まれています
熱海港、伊東港、稲取港、下田港、南伊豆の港、西伊豆の一部、土肥港、戸田港、沼津港、静浦港、内浦湾、田子の浦港、由比港、地頭方港、御前崎港などは、マダコの釣果だけを根拠に一般向けポイントとして扱うことはできません
一方、浜名湖内を対象とする共第20号、旧清水市地先を対象とする共第15号、静岡市駿河区地先を対象とする共第16号、焼津市地先を対象とする共第17号では、漁業権対象種に「たこ」の記載がありません
ただし、漁業権対象種に含まれていないことと、港内のすべての場所で釣りができることは別です。漁港や港湾施設では、立入禁止、釣り禁止、作業区域、係留区域などの規制が優先されます
静岡でマダコが狙える時期
静岡のマダコ釣りは、春から秋にかけて狙いやすくなります。岸釣りでは5月頃から釣果が増え始め、6月〜8月は小型から中型を中心に数を狙いやすい時期です。9月〜10月は数が減る日もありますが、成長した良型が掛かる可能性があります
マダコの一般的な釣期は5月〜10月頃で、夏が中心です。沿岸の砂礫底や岩礁帯に生息し、日中は岩の下や穴に隠れ、暗くなるとエサを探して動きます
マダコは夜行性ですが、タコエギで隠れ場所を直接探れるため、日中でも釣ることができます。朝夕や曇天、海水に濁りが入っている時は、岸壁際や浅い石積みへ出ていることがあります
晴天の日中は、日が当たる平らな底だけでなく、岸壁の影、消波ブロックの隙間、深くなった船道、海藻の下などを重点的に探ります
マダコが付きやすい場所
マダコは、カニ、エビ、貝類などを捕食します。そのため、甲殻類や貝が集まりやすく、身を隠せる場所がポイントになります
狙い目になるのは、岸壁基礎の切れ目、コンクリートの継ぎ目、護岸の角、捨て石の先端、敷石と砂地の境目、スロープの左右、港内の船道、貝殻が堆積している底です
足元にカニが見える場所や、岸壁にフジツボ、カキ、イガイなどが多く付着している場所も有力です。落下した貝や小型の甲殻類を狙って、岸壁の真下にマダコが入ることがあります
変化の少ない砂泥底を広く引くより、石や人工物がある範囲を細かく探る方が効率よくポイントを確認できます
浜名湖・湖西エリア
浜名湖内の共同漁業権対象種には、アサリ、ハマグリ、ナマコ、スジアオノリなどが記載されていますが、「たこ」は含まれていません。静岡県内で岸からマダコを狙う場合、浜名湖は中心になるエリアです
ただし、浜名湖の今切口周辺には釣り禁止区域があります。導流堤や港湾施設へ入るのではなく、一般の釣り場として開放されている新居弁天海釣公園などを利用します
浜名湖は潮の流れが速くなりやすいため、軽いタコエギでは底を取り続けられないことがあります。流れの中央を狙うより、堤防の内側、護岸の角、流れが弱くなる場所、捨て石の裏側を探る方が釣りやすくなります
新居弁天海釣公園
新居弁天海釣公園は、浜名湖と遠州灘を結ぶ今切口の近くにあり、5基のT字型堤防が並ぶ釣り場です。駐車場と公衆トイレがあり、釣具のレンタルに対応する店舗もあります
マダコの釣果記録があり、時期によっては直近の釣果魚種にもタコが含まれています
狙い目は、T字堤防の足元、堤防の付け根、岸壁基礎、捨て石の先、堤防内側の流れが緩む範囲です。沖へ遠投すると潮に押されてエギが浮いたり、ほかの釣り人の仕掛けと交差したりするため、足元から近距離を中心に探ります
タコエギを底まで落としたら、底から離さないように小刻みに動かします。同じ場所で5〜10秒動かし、反応がなければ50cm〜1mずつ移動させます
潮が速い時間帯は、タコエギにオモリを追加して底を取りやすくします。軽いエギを流し続けるより、エギの位置を把握できる重さへ調整することが大切です
人気の高い釣り場なので、サビキ釣りや投げ釣りの仕掛けが入っている場所では横方向へ引きません。空いている足元を縦に探り、数mずつ移動します
福田漁港周辺
福田漁港は、岸壁、スロープ、石積み、砂泥底が組み合わされた港です。マダコを含むタコ類の釣果記録があり、足元を探るタコエギの候補になります
狙い目は、港内岸壁の継ぎ目、護岸の角、スロープの左右、岸壁基礎と砂地の境目です。船道の中央へ遠投するより、足元から10m前後までを丁寧に探ります
タコエギが石の間へ入る場所はマダコの隠れ場所になる一方、根掛かりも増えます。強く引き続けるとカンナが深く掛かるため、引っ掛かった時はラインを緩め、左右へ移動して角度を変えます
福田漁港は漁船、遊漁船、作業車両が利用する港です。船着場、係留ロープ、荷役場所、漁具が置かれた場所には入らず、現地で釣りが認められている範囲だけを利用します
焼津エリア
焼津市地先を対象とする共同漁業権では、イセエビ、アワビ、サザエ、カキ、ナマコ、ウニ、海藻類などが対象種に含まれていますが、「たこ」の記載はありません
焼津市には焼津港、小川港、大井川港があり、同じ市内でも水深、底質、岸壁の構造が異なります。マダコ狙いでは、外海に面した砂浜より、岸壁基礎、敷石、消波ブロックなどがある港内を中心に探ります
市が公開している釣りマップでも、焼津港、小川港、ふぃしゅーなが釣り場として案内されています。ただし、港や堤防には立入禁止場所があるため、現地表示の確認が必要です
焼津港
焼津港は規模が大きく、岸壁、港内の船道、スロープ、石積みなど、マダコが付きやすい変化があります
狙い目は、岸壁の真下、岸壁基礎の先端、港内の角、係留施設から離れたスロープ周辺です。大型船が接岸する岸壁では足元から水深がある場所もあり、タコエギを真下へ落として縦方向に探れます
着底後は大きくシャクらず、底でエギを揺らします。マダコが乗ると、エギが海底へ吸い付いたように重くなります。すぐに強く引かず、数秒動かして重さが移動するかを確認してから合わせます
タコを底から離した後に巻きを止めると、岸壁や基礎へ張り付かれることがあります。一定の速度で巻き上げ、良型はタモ網で取り込みます
焼津港は水産業と港湾作業に使われる場所です。岸壁が広く見えても、作業中の区画、係留船の前、車両の通路では釣りをしません
小川港
小川港は、港内岸壁と船道、石積み、スロープなどを探れるポイントです。焼津港と同様に、沖へ大きく投げるより、岸壁沿いを歩いて探る釣り方が合います
護岸の角やスロープの脇では、流れによってカニや貝殻が集まりやすくなります。海底を引いた時に硬い石の感触から滑らかな砂地へ変わる場所は、マダコの通り道になる可能性があります
係留船の下やロープの方向へエギを入れると、船舶や漁具を傷つける原因になります。明るい時間に海面と足元を確認し、仕掛けを安全に回収できる範囲だけを探ります
焼津漁港親水広場ふぃしゅーな
ふぃしゅーなには、駐車場、トイレ、手洗い場、フィッシングゾーンがあります。市の釣りマップでも、釣り人が多い場所として案内されています
マダコを狙う場所は、潮だまりなどの生き物観察区画ではなく、釣りが認められたフィッシングゾーンです。岸壁基礎、護岸の角、石と砂地の境目をタコエギで探ります
柵がある場所では、大型のマダコを抜き上げにくくなります。水面まで届くタモ網を用意し、無理に竿だけで持ち上げない方が安全です
公園利用者や家族連れも多いため、後方を確認せずに投げたり、通路へタコエギを置いたりしないようにします
用宗漁港周辺
用宗漁港がある静岡市駿河区地先では、共同漁業権対象種に「たこ」の記載がありません
用宗漁港は、岸壁、港内の敷石、港口の消波ブロック、砂地が近い範囲にあります。マダコ狙いでは、岸壁の継ぎ目、角、石積みの先、港内スロープ周辺を探ります
港口寄りは潮が動きやすく、港内側は仕掛けを安定させやすい特徴があります。潮が速い時は港口の流れへ直接入れず、流れが弱くなる内側を探ります
足元の敷石を探る場合は、エギを大きく跳ね上げません。石の上を小刻みに移動させ、重くなった時にタコか根掛かりかを確認します
用宗漁港にも漁船や係留ロープがあります。港内を横方向へ広く引かず、船や作業場所から離れた釣り可能範囲を選びます
用宗広野海岸公園周辺
用宗広野海岸公園周辺は、砂地だけでなく、護岸基礎や石が入った場所を探れるエリアです
変化の少ない砂地の中央より、護岸の根元、石の切れ目、砂と石が混ざる範囲がポイントになります。軽く投げた後、エギを底から離さないようにゆっくり引きます
海岸側は波やうねりの影響を受けます。波が高い日はタコエギが持ち上げられ、底を探れません。仕掛けを安定させられる日を選び、波打ち際へ近づきすぎないようにします
清水港
旧清水市地先を対象とする共同漁業権では、イセエビ、アワビ、サザエ、アサリ、ナマコ、海藻類などが記載されていますが、「たこ」は含まれていません。ただし、同じ清水区でも由比周辺は「たこ」が対象種に含まれる別の漁業権区域です
清水港は水深のある岸壁、船道、護岸基礎などがあり、マダコが生息できる環境があります。一方で、国際港湾施設、荷役岸壁、フェンス、作業区域が多く、港全体を自由に釣り歩くことはできません
岸壁から狙える場合は、足元の基礎、護岸の角、石積みと砂泥底の境目を探ります。船舶が接岸する岸壁や係留ロープがある場所では仕掛けを入れません
過去に釣果があった場所でも、現在は立入禁止になっている場合があります。現地のフェンス、看板、管理者の案内を優先します
清水港海づり公園
清水港海づり公園は、新興津地区に整備された管理釣り施設です。暫定供用中は土日祝を中心に営業し、利用時間と料金が定められています
管理施設のため、一般岸壁より立入範囲が分かりやすく、足場も整えられています。ただし、タコエギの使用可否、仕掛けを投入できる距離、混雑時のルールなどは、利用前に管理事務所へ確認する必要があります
周囲にサビキ釣りやちょい投げ釣りの仕掛けが入っている場合は、横方向へタコエギを引きません。利用できる範囲で足元を縦に探り、ほかの仕掛けと交差させないことが前提です
漁業権対象地域は主要ポイントから外す
御前崎港、地頭方港、熱海港、伊東港、東伊豆・南伊豆・西伊豆の一部、戸田港、沼津港、静浦港、内浦湾、田子の浦港、由比港などでも、マダコの生息や釣果情報が確認されることがあります
しかし、これらの地域には共同漁業権対象種として「たこ」が記載された海域があります。釣れている場所であっても、一般の釣り人が採捕して持ち帰れるとは限りません
ルアー釣りやエギ釣りが可能な施設でも、マダコの採捕が認められているとは限りません。施設の釣りルールと漁業権は分けて確認する必要があります
静岡のマダコ釣りで使うタックル
岸からのタコエギでは、強いロッドと太いラインを使用します。マダコが岸壁や石へ張り付くと、柔らかいロッドでは底から離せません
ロッドはタコ専用ロッド、強めのショアジギングロッド、硬めのベイトロッドなどが使えます。一般的なエギングロッドは柔らかく、強く引いた時に破損する可能性があります
リールは剛性のあるベイトリールか、大型のスピニングリールを使用します。ラインはPE3〜5号前後、リーダーはフロロカーボン8〜12号前後が基準です
岸壁の足元だけを狙う場合でも、細いラインでは石や貝へ擦れた時に切れやすくなります。感度よりも、根掛かりを外せる強度と擦れへの耐久性を優先します
タコエギとオモリ
タコエギは3〜4号前後を1個または2個使用します。根掛かりが多い場所では1個、平らな底を広く探る場合は2個を使うと、状況に合わせやすくなります
港内の流れが弱い場所では、タコエギの自重だけでも底を取れます。浜名湖や港口など潮が速い場所では、10〜30号前後のオモリを追加します
重要なのは、重ければよいということではなく、底を感じながらエギを小刻みに動かせる重さにすることです。重すぎると石の隙間へ入りやすくなり、根掛かりが増えます
カラーは白、黄色、オレンジ、ピンク、赤などが使いやすく、濁りがある日は目立つ色、透明度が高い日はカニやエビに近い色を組み合わせます
タコエギの動かし方
タコエギを着底させたら、底から離さずに小刻みに揺らします。ロッドを大きく上げるのではなく、穂先を細かく動かし、エギが海底で歩くような動きを作ります
同じ場所で5〜10秒動かし、反応がなければ50cm〜1m移動させます。足元を狙う場合は、数m探ったら釣り人自身が移動します
エギが急に重くなった場合は、すぐに強く引きません。その場所で数秒揺らし、重さがわずかに移動するか、柔らかい抵抗が伝わるかを確認します
マダコと判断したら、ラインを張った状態で強く合わせます。底から離れた後は巻きを止めず、一定の速度で水面まで上げます
マダコの釣果を伸ばすコツ
マダコ釣りは、同じ場所で長時間待つより、歩いて広い範囲を探る方が釣果につながります
岸壁の継ぎ目、角、スロープ、石積みなどを順番に探り、反応がなければ数m移動します。釣り人が集中する正面だけでなく、少し離れた護岸の足元に残っていることもあります
タコが釣れた場所は、エサや隠れ場所がある可能性があります。1杯釣れた後は、同じ場所と周囲数mをもう一度探ります
海底からカニや貝殻が上がってくる場所も狙い目です。マダコのエサが多い場所では、時間を空けて別の個体が入ることがあります
濁りがある時は浅い場所や岸壁際、海水が澄んで日差しが強い時は影や深い場所を中心に探ります
マダコの取り込み方
小型であればラインを緩めずに抜き上げられますが、500gを超える個体や足場の高い岸壁ではタモ網を使用します
水面で巻きを止めると、岸壁へ腕を伸ばして張り付くことがあります。タモ網を先に水面へ入れ、巻き上げながらそのまますくいます
釣り上げたマダコは地面やクーラーボックスへ張り付きます。厚手の袋や蓋付きの容器を用意し、外へ逃げられないようにします
マダコには硬いクチバシがあり、指を近づけると噛まれることがあります。針を外す時は長いペンチを使い、口元を直接つかみません
注意点とマナー
静岡のマダコ釣りでは、漁業権と立入規制の確認が欠かせません。マダコが漁業権対象種に含まれる地域では、一般の釣り人が採捕できない場合があります
釣り場では、フェンス、立入禁止表示、釣り禁止表示、作業区域の案内を確認します。以前利用できた岸壁でも、港湾工事や船舶の停泊によって利用できなくなることがあります
係留船の下、ロープ、養殖施設、漁具の周辺へタコエギを入れません。根掛かりした仕掛けを無理に引くと、ロープや施設を傷つけることがあります
タコエギは太いカンナが付いており、人に当たると危険です。後方を確認せずに投げたり、通路へ仕掛けを置いたりしないようにします
切れたライン、破損したタコエギ、オモリ、ルアーの包装は持ち帰ります。釣ったタコの墨やヌメリで岸壁を汚した場合は、海水で流します
まとめ
静岡県で岸からマダコを狙う場合は、共同漁業権対象種に「たこ」の記載がない浜名湖、焼津市、静岡市駿河区、旧清水市地先が中心になります
具体的な候補は、新居弁天海釣公園、福田漁港、焼津港、小川港、ふぃしゅーな、用宗漁港、用宗広野海岸公園周辺、清水港の利用可能区画です
新居弁天海釣公園ではT字堤防の足元と捨て石、焼津港と小川港では岸壁基礎とスロープ、用宗では敷石と砂地の境目、清水港では管理された釣り場や利用が認められた岸壁を探ります
釣り方は、強いロッドと太いラインを使い、タコエギを海底から離さずに小刻みに動かす方法が基本です。同じ場所で待ち続けず、岸壁の継ぎ目、角、スロープ、石積みを歩いて探ることが釣果につながります
熱海、伊東、伊豆半島の一部、沼津、富士、由比、御前崎などは、マダコが共同漁業権対象種に含まれる地域があります。釣果情報だけで判断せず、漁業権、施設のルール、現地の立入規制を確認してから釣行することが必要です