三崎港・城ヶ島エリアで年間250〜300回エギングを行っている筆者の実釣では、ラトル入りのエギでもアオリイカは釣れます
特に9月から12月上旬頃までは釣果が出やすく、朝マヅメや夕マヅメ、夜の濁り潮では、ポイントへ入って最初に投げることがあります
しかし、秋にラトル入りで釣れたからといって、ラトル音が釣果を増やしたとは断定できません。秋は岸近くにいるアオリイカの数が増え、エギを積極的に追う個体も多くなるため、ラトルなしでも釣果を出しやすい季節です
ラトル音に反応して近づいたのか、カラーやダートへ反応したのか、キャストした場所に最初からいたのかは、通常の釣行では切り分けられません。ラトル入りが釣れることは確かですが、ラトル入りの方がいつでも釣れるとは言えないのが実際のところです
個人的には、ラトル入りをアオリイカに抱かせる切り札ではなく、高活性な個体がいるかを短時間で確かめるサーチ用として使っています
ラトル入りのエギの仕組み
ラトル入りのエギは、ボディ内部に球体や可動部品が入っており、シャクリやダートを加えた時に音と振動が発生します。内部の部品がボディへ当たることで、ラトルなしにはない刺激を水中へ加える構造です
エギのアピールはラトル音だけで決まるものではありません。カラー、フラッシング、ダート、ボディの水押し、フォール姿勢、沈下速度などが組み合わさり、その中へラトルによる音と振動が加わります
同じラトル入りでも、強くダートするもの、フォールが速いもの、遠投性能を重視したもの、安定した姿勢で沈むものがあります。ラトル入りへ交換して釣れたとしても、ラトル音ではなく、沈下速度やレンジが合った可能性は残ります
ラトルの効果を考える時は、音だけを切り離さず、そのエギがどのように動き、どの速さで沈み、どの距離を探れるのかまで見る必要があります
イカはラトル音を認識しているのか
アオリイカには、人間と同じ構造の耳はありません。しかし、頭部にある平衡胞によって、水中音に伴う振動や水粒子の動きを感知できると考えられています
アオリイカを対象にした研究では、400〜1500Hzの音響刺激に対する神経反応が確認されています。イカ類が水中の音響刺激を感知できることには、生理学的な根拠があります
別種のイカを調べた研究では、30〜500Hzで反応が確認され、100〜200Hz付近で感度が高くなりました。平衡胞を取り除くと反応が失われたことから、イカは平衡胞を通じて、音圧よりも水粒子の動きを感知していると報告されています
エギメーカーからは、アオリイカが感知しやすいとされる600Hzを中心としたラトル音を発生させる製品も販売されています。メーカー側も、ラトルを好奇心の高いアオリイカへ存在を伝えるための追加アピールとして位置づけています
ここで分けて考えなければならないのは、アオリイカがラトルの刺激を認識できることと、その刺激によってエギを抱くことは別だという点です。音へ気づいて近づく場合もあれば、一定の距離から様子を見る、反応しない、離れるという行動も考えられます
ラトル音で釣れる確率は上がる?
ラトル入りとラトルなしを同じボディ形状、同じ号数、同じカラー、同じフォール速度で比較し、ラトルだけによって釣れる確率が何%上がるかを示した実釣データは確認できません
市販のラトル入りエギは、ラトルなしと音以外の部分も異なることがあります。ラトル入りには高活性なアオリイカを探す目的で、強い平打ち、速めのフォール、フラッシングなどを組み合わせた製品もあります。実際にメーカーも、ラトルだけでなく複数のアピール機能によって高活性な個体を探す設計としています
ラトル入りへ交換した直後に釣れても、音が原因とは限りません。エギを交換したタイミングでアオリイカが回遊してきた可能性や、フォール速度、カラー、レンジが合った可能性もあります
ラトル音によってエギの存在へ気づく個体が増えれば、アオリイカと接触する機会が増える可能性はあります。ただし、エギへ気づくことと抱くことは同じではありません。音で振り向かせても、その後のダートやフォールが合わなければ釣果にはつながりません
ラトルは釣れる確率を一律に引き上げる機能ではなく、ラトルなしとは異なる刺激によって、その場に反応できるアオリイカがいるかを確かめる機能として考えています
三崎港・城ヶ島で秋にラトル入りが機能しやすい理由
三崎港・城ヶ島では、9月から12月上旬頃までラトル入りのエギでよく釣れます。この時期は小型から中型のアオリイカが岸近くへ入り、エギを見つけると長い距離を追う個体や、複数で追尾してくる個体が見られます
高活性なアオリイカがいる状況では、ラトル音やダートによる強めの刺激が、エギへ気づくきっかけになっている可能性があります。朝夕の短い時合や、回遊が入った直後に広い範囲を探す場合は、ラトル入りで早く反応を確認できることがあります
ただし、秋はアオリイカの個体数が多く、ラトルなしでも釣果を出しやすい時期です。ラトル入りで連続して釣れた日でも、同じ場所へラトルなしを投げれば釣れた可能性は残ります
三崎港・城ヶ島で秋に釣れやすい理由は、ラトルの効果だけではなく、岸近くにいるアオリイカの数、高い活性、ベイトの量、回遊のタイミングなどが重なっているためです。その中でラトルが、高活性な個体を見つける手助けをしていると考えるのが実釣感に合います
水温が16度を下回ると反応が悪くなる理由
三崎港・城ヶ島では、12月中旬以降に水温が16度を下回る頃から、ラトル入りへの反応が悪くなるように感じます。ただし、水温16度以下になるとアオリイカがラトル音を感知できなくなるという根拠はありません
この時期に最初に考えたいのは、岸から狙える範囲にいるアオリイカの数が秋より減っていることです。ラトルを入れても近くに反応する個体がいなければ、当然ながら釣果にはつながりません
水温の低下によって活性が落ち、エギを追う距離が短くなっている可能性もあります。秋にはラトル音や強いダートへ素早く反応した個体が、冬にはエギへ気づいても近づかず、長いフォールや小さな動きにしか反応しないことがあります
秋を越えて成長したアオリイカは、それまでに何度もエギを見ている可能性があります。エギンガーの多い三崎港・城ヶ島では、ラトル音を含む強めのアピールが、エギの存在を知らせる刺激ではなく、距離を取るきっかけになる場面も考えられます
水温16度はアオリイカの聴覚が変わる境界ではなく、三崎港・城ヶ島で釣り方を切り替える目安です。高活性な個体を広く探す釣りから、数少ない反応をラトルなしで丁寧に拾う釣りへ移行します
ラトル入りのエギが合う状況
ラトル入りを使いやすいのは、高活性なアオリイカがいる可能性が高く、短時間で広い範囲を探したい状況です。秋の新子シーズン、朝マヅメ、夕マヅメ、ベイトが岸近くへ入っている時間帯では、最初に投げて反応を確認します
夜や濁り潮も、ラトル入りを試す状況です。水中でエギを視認できる距離が短くなっている場合は、カラーやシルエットだけでなく、ラトルによる音と振動を加えることで、エギへ気づくきっかけを増やせます
初めて入るポイントや、アオリイカのいるレンジが分からない時にも使えます。沖、斜め、護岸際へ投げ分け、表層、中層、底付近を探ることで、追尾や触りが出る場所を絞ります
一方で、夜や濁り潮であれば必ずラトル入りが有利になるわけではありません。近くにアオリイカがいない場合や、低活性な個体しかいない場合は、ラトル音へ気づいてもエギを追わないことがあります
ラトル入りのエギが釣れない時の理由
ラトル入りで釣れない時は、その日のアオリイカに対して刺激が強すぎる可能性があります。ラトル音だけでなく、強いダート、速いフォール、大きな水押しが重なると、低活性な個体がエギとの距離を詰めないことがあります
澄み潮の浅場では、エギの姿や動きが見えやすくなります。ラトルによって早く存在へ気づかせても、その後にエギの形や不自然な動きを見切られれば抱きません
見えているアオリイカが途中まで追ってくるものの、一定の距離から近づかない場合は、カラーだけでなくラトルの有無を変えます。ラトル入りのままカラーだけを交換しても、警戒している原因がラトル音であれば反応は変わりません
フォール速度が合っていないこともあります。サーチ向けのラトル入りには、手返しを上げるために少し速く沈む製品があります。浅場や低活性時には、アオリイカが距離を詰める前にエギが沈みすぎ、抱く時間を作れません
アオリイカが岸から届く範囲に入っていない場合も、ラトル入りでは解決できません。ラトルは離れた場所にいるアオリイカを無制限に呼び寄せる機能ではないため、反応がない場所でカラー交換だけを続けても釣果にはつながりません
ラトル入りとラトルなしの使い分け
ポイントへ入った直後はラトル入りで広く探り、追尾、触り、ラインの変化が出るかを確認します。反応が出てそのまま抱く場合は、無理にエギを替える必要はありません
アオリイカが追ってくるものの抱かない時は、同じ号数で沈下速度が近いラトルなしへ交換します。サイズやフォール速度まで大きく変えると反応が変わった理由を判断しにくいため、ラトルの有無以外の差を小さくします
ラトルなしへ替えた後にアオリイカが距離を詰めた場合は、その状況ではラトルを含むアピールが強かった可能性があります。反対に、ラトルなしで反応がなく、ラトル入りへ替えた直後に追尾や触りが出れば、ラトルがエギへ気づくきっかけになった可能性があります
1回の反応だけで判断することはできません。エギを交換したタイミングで回遊が入った可能性もあるため、同じ季節や潮色で繰り返し反応を見ながら使い分けます
三崎港・城ヶ島での使い方
三崎港・城ヶ島では、秋、朝夕のマヅメ、夜の濁り潮を中心に、ポイントへ入った最初のエギとしてラトル入りを使います。キャスト方向と狙うレンジを変えながら、その場所に高活性なアオリイカがいるかを確認します
シャクリやダートによってラトル音を発生させた後は、フリーフォールへ移します。ラトル入りだからといって動かし続けるのではなく、エギへ気づいたアオリイカが近づき、抱くための時間を残します
追尾や触りがあるのに抱かない場合は、ラトルなしへ交換します。反応がまったくない場合は、ラトル入りのカラーを何本も交換して同じ場所へ投げ続けず、15分を目安に立ち位置やポイントを変えます
12月中旬以降や水温16度前後からは、秋と同じようにラトル入りだけで押し続けません。最初の確認で反応が出なければラトルなしへ替え、沈み根、潮の緩み、足元の深い場所をフリーフォールで探ります
結論
ラトル入りのエギは、高活性なアオリイカがいるかを短時間で確認するサーチ用として使えます。アオリイカはラトルによる音や振動を感知できると考えられますが、感知したことでエギを抱く確率が上がるとは断定できません
三崎港・城ヶ島では、9月から12月上旬頃まで、朝夕のマヅメや夜の濁り潮で使いやすくなります。水温が16度を下回る頃から反応が悪く感じる場合は、ラトルを認識できなくなったのではなく、岸近くの個体数、活性、エギを追う距離が変化した可能性を考えます
ラトル入りで反応を探し、追っても抱かない時はラトルなしへ替えます。反応がなければ同じ場所で粘らず移動することで、ラトル入りの役割を無理なく生かせます
エギのインプレッション
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