滅多に手に入らないエギをケースから取り出し、海へ投げるときには、それとは違う高揚感があります。ほとんど流通していないエギを自分が持っているという満足感に加え、本当に釣れるのかを確かめられる期待が重なり、キャストする前から気持ちが上がります
私にとっての幻のエギは、餌木猿2.5号と3号の枯茶カラー、そして石垣島で職人が手作りする八重山エギです。どちらも珍しいだけではなく、実際にただ巻きで相当な数のアオリイカを釣りました。誰かの評判を聞いて憧れているエギではなく、自分で投げ、自分で釣れたことを確かめたエギだからこそ、今でも特別な存在です
幻のエギを使う楽しさは、釣果だけではありません。釣り場でケースを開き、ほかのエギとは違う外観を眺め、今日はこれを使うと決めた瞬間から釣りが少し特別になります。ロストへの不安はありますが、それ以上に「このエギで釣りたい」という気持ちが強くなり、海へ投げ込んだ瞬間から集中力も上がります
餌木猿2.5号・3号の枯茶カラー(壱号カラー)
餌木猿の枯茶は、ただ流通量が少ないだけのエギではありません。餌木猿を使ってきた釣り人の中でも特別なエギとして語られ、。まして2.5号と3号になると、探せば買えるという水準ではなく、存在そのものをほとんど確認できない幻に近いサイズです
私は以前、その枯茶カラーの2.5号と3号を所有していました。本当によく釣れるエギとしてケースへ入れ、三崎港や城ヶ島周辺で普通に使っていました。今考えれば、ほとんど市場へ出てこない2本を惜しげもなく海へ投げていたことになりますが、当時は希少品を所有している満足感より、枯茶を結んだ日は釣れそうだという期待の方がはるかに強くありました
枯茶で最も印象に残っているのは、ただ巻きで見せた強さです。大きくシャクって飛ばすのではなく、一定の速度でゆっくり巻いてくると、アオリイカが後方へ付き、そのまま距離を詰めて抱きました。一度だけ偶然釣れたのではなく、同じ動かし方で何度も結果が出たため、枯茶を投げるたびに「また来るのではないか」という期待が膨らみました。餌木猿スーパーシャローと枯茶を使ったただ巻きの釣果は、ほかの釣り人からも報告されていますが、私は2.5号と3号でその威力を繰り返し体験しています
幻に近いエギを海へ投げ、そのエギの後ろへアオリイカが現れる光景は、一般的なエギで釣るときとは興奮の質が違います。入手困難な道具を所有している満足だけなら、ケースへ飾って眺めていれば足ります。しかし、枯茶は実際に投げると釣れました。ゆっくり巻くラインの先で重さが加わり、ロッドへアオリイカの感触が伝わるたびに、希少価値ではなく実力で特別なエギなのだという確信が強くなりました
2.5号は、小さなボディを生かしてゆっくり追わせられ、警戒しているアオリイカが後ろへ付いたときにも、そのまま一定の速度で抱かせることができました。3号は2.5号より水中での存在感がありながら、3.5号ほど大きくないため、サイズを選びにくく使いやすいエギでした。2本には大きさの違いがありましたが、枯茶をただ巻きするとアオリイカが追い、余計な操作を加えなくても抱くという印象は共通していました
釣れるほど出番が増え、出番が増えるほど失う危険も高くなります。3号はキャスト時の高切れで沖へ飛び、2.5号は障害物へ引っ掛けて回収できなくなりました。どちらも現在は所有していませんが、海へ投げたことを後悔しているわけではありません。失わないように保管していれば今も手元に残っていたはずですが、それでは枯茶がどれほど釣れるのか、ただ巻きでアオリイカが抱く瞬間にどれほど気持ちが高ぶるのかを知ることもできませんでした
それでも、もう一度手に入れたいという気持ちは消えません。再びケースへ枯茶の2.5号か3号を収め、三崎港や城ヶ島の海を前にしてスナップへ結べば、ロストへの不安より先に、あのただ巻きでもう一度釣りたいという期待が勝つと思います。餌木猿の枯茶は、希少だから価値があるのではなく、手にしたときの高揚感に実際の釣果が追いついてくるからこそ、忘れられない幻のエギです
石垣島の八重山エギ
八重山エギは、石垣島で職人が手作りしているエギです。私はメルカリで偶然見つけて購入しましたが、商品ページを見た瞬間から、一般的な量産エギとは違う雰囲気を感じました
届いた八重山エギを手に取ると、釣具というより工芸品に近い美しさがありました。形や仕上げから手作りであることが伝わり、同じものが大量に並ぶ市販エギとは違う存在感があります。釣具箱へ入れるのが惜しくなりますが、海へ投げてこそエギなので、実際の釣りで使いました
私が所有していた個体は、3.5号ほどの大きさで重さが30gありました。一般的な3.5号のエギより明らかに重く、キャストすると勢いよく飛び、着水のたびに大きな音が出ます。静かな海面へ投げると驚くほどの音が響き、最初はアオリイカが逃げるのではないかと不安になりました
それでも、巻き始めるとアオリイカが追ってきました。八重山エギもただ巻きでよく釣れ、重いエギが水中を進む後ろへアオリイカが付き、そのまま抱く場面を何度も見ています。強烈な着水音を聞いた直後にアオリイカが釣れるため、使うたびに常識を少し裏切られる面白さがありました
初めて八重山エギで釣れたときは、珍しいエギを手に入れた喜びと、そのエギが本当に釣れた喜びが一度に来ました。ネットや中古市場で見つけた正体の分からない手作りエギが、目の前の海でアオリイカを連れてくる。その瞬間に、単なる珍品ではなく、自分にとって信頼できるエギへ変わりました
釣果が増えるほど、八重山エギを投げること自体が楽しくなります。ケースの中にはほかにも多くのエギが入っているのに、珍しさと実績の両方を持つ八重山エギを選びたくなります。今日はこのエギで釣るという気持ちで海へ投げ、実際に釣れたときには、普通のエギでは味わえない満足感がありました
八重山エギは外観も美しいため、釣れた後に手元へ戻ってきたエギを眺める時間まで楽しくなります。アオリイカの墨が付けば、工芸品のような美しさへ実釣の記憶が加わります。飾っておくだけでも価値がありますが、実際に釣った痕跡が残ることで、自分だけのエギになっていきました
最後はキャスト時の高切れでロストしました。30gあるエギが沖へ飛び、ラインの先から消えたときは悔しさがありましたが、使ったこと自体を後悔してはいません。飾ったままなら今も手元に残っていたかもしれませんが、八重山エギがただ巻きで相当釣れることも、使うたびに高揚するエギであることも知れなかったはずです
「石垣島 エギ」で検索すると八重山エギの情報が見つかり、実店舗または作業場があるため、石垣島へ行けば今でも購入できる可能性があります。ただし、製作者は高齢の方とされ、現在も製作や販売が続いているかは分かりません。餌木猿2.5号と3号の枯茶カラーよりは市場に残る数が多そうですが、欲しいときに確実に買えるエギではありません
幻のエギを使う楽しさ
幻のエギは、ケースへ入っているだけで釣行への期待を高めてくれます。いつでも買えるエギではないため、手に入れた時点で特別感があり、それを海へ持ち込んで実際に投げると、いつものエギングが少し違って見えます
餌木猿の枯茶カラーも八重山エギも、珍しいだけなら一度使って終わっていたと思います。ただ巻きで何度もアオリイカが釣れたため、次も使いたくなり、釣れるたびに信頼と高揚感が増していきました。幻のエギで釣る喜びは、希少品を所有している満足だけではなく、その希少品が自分の期待どおりに結果を出す瞬間にあります
もちろん、入手困難なエギを使えば、常にロストへの不安があります。しかし、その不安があるからこそ、無事に回収できたときにも安心し、アオリイカを釣って戻ってきたときには満足感が大きくなります。投げる前の緊張、追ってきたときの期待、抱いた瞬間の興奮まで含めて、通常のエギとは異なる時間を楽しめます
現在はどちらも手元にありませんが、釣れた記憶は失った悔しさより鮮明に残っています。餌木猿の枯茶カラーをただ巻きした後ろへアオリイカが付き、八重山エギの大きな着水音に不安を感じながら巻くとラインへ重さが乗る。幻のエギは、所有しているだけでは幻の釣具ですが、実際に釣れた瞬間から忘れられないエギになります
再び手に入れたら、ロストが怖くて投げるのをためらうと思います。それでも、海を目の前にしてケースを開けば、結局は使いたくなるはずです。珍しいからではなく、実際によく釣れたことを知っているからこそ、もう一度あの高揚感を味わいたくなります
幻は幻として神格化し、普段は簡単に補充できるエギを使う方が気楽です。しかし、気楽なエギングだけでは得られない興奮が、幻のエギにはあります。失うかもしれない1本を海へ投げ、そのエギへアオリイカが抱いた瞬間、手に入れるまでの苦労も、投げる前の迷いも、すべて報われます
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