エギングで釣れない人の特徴のひとつに、回遊待ちに依存しすぎることがあります
もちろん、回遊待ちそのものが悪いわけではありません。潮通しの良い堤防、岬、港の先端、外向きのポイントなどは、アオリイカが差してくる可能性があるため、エギングでは定番の狙い方です。朝まずめや夕まずめに高活性のイカが入ってくれば、経験が浅い人でも釣れることがあります
ここに落とし穴があります
回遊待ちは「釣れる可能性がある釣り方」ではありますが、「上手くなる釣り方」とは限りません。特に、毎回同じ潮通しの良い場所に立ち、ひたすら回ってくるイカを待つだけになっている人は、釣果が安定しにくくなります
なぜなら、その釣りは自分でイカを探しているのではなく、イカが自分の前に来るのを待っているだけになりやすいからです。筆者は、回遊待ちのエギングをほとんどしません
回遊待ちをしない理由
まず、潮通しの良い有名ポイントは大抵混雑しています。朝まずめの堤防先端、外向きの角、潮が当たる磯場などは、エギンガーが並びやすい場所です。人が多い場所では、ラインがクロスしないか気を使います。投げたい方向があっても、隣の人のラインや立ち位置が気になって自由にキャストできません
潮のヨレへエギを入れたい
沖のブレイクへ斜めに通したい
潮に乗せてドリフト気味に流したい
そう思っても、人が多ければ自分の通したいコースにエギを入れられないことがあります
エギングは、エギを投げてしゃくれば成立する釣りではありません。どこに投げるか、どの角度で入れるか、どの層を通すか、どれくらい沈めるか、どこでフォールを見せるか。この組み立てが重要です
しかし、混雑した回遊待ちポイントでは、その自由度が大きく下がります
釣りをしているというより、周囲に気を使いながら空いている方向へ投げているだけになることもあります。これでは、自分の狙いで釣ったという感覚を得にくくなります
さらに、仮にそこで釣れたとしても、それが自分の能力による一杯なのか判断しにくいのです
目の前に高活性のアオリイカが回ってきた
たまたまそのタイミングでエギが入った
イカのやる気が高く、多少雑な誘いでも抱いた
こういう一杯は、もちろん釣果としては価値があります。ですが、再現性のある釣りとは言いにくい部分があります
以前、カップルで来ていた女性が、朝まずめの潮通しの良いポイントでキロオーバーのアオリイカを釣った場面を見たことがあります。その女性は、キャストもシャクリもまだ慣れていない様子でした。フォームも安定していないし、エギを意図した場所へ入れている感じでもありませんでした
それでもアオリイカは釣れた
これは、その人を否定しているわけではありません。釣れたこと自体は素晴らしいことですし、エギングを始めた人にとっては最高の経験だと思います
ただ、その一杯を見て「この人はエギングが上手い」とは判断できません
高活性のイカが回ってくるタイミングに当たれば、技術が未熟でも釣れることがあります。それが回遊待ちの強さであり、同時に怖さでもあります
なぜ怖いのか
それは、釣れた理由を勘違いしやすいからです
「この場所で粘れば釣れる」
「朝まずめに入れば釣れる」
「潮通しの良い場所にいれば何とかなる」
こう考えるようになると、エギングの思考が止まりやすくなります。もちろん、ポイント選びや時合を読むことは大事です。ですが、エギングの面白さはそれだけではありません。イカがどこに付いているのか、どの角度でエギを見せるのか、どの沈下速度が合うのか、どのフォールで抱かせるのか。そういう細かい部分を詰めることで、釣果に再現性が出てきます
回遊待ちだけに頼る人は、この細かい部分を磨く機会が少なくなります。一方で、コンスタントに釣る上級者は、回遊待ちだけに依存していません。回遊してくるイカを狙うこともありますが、それだけでなく、居つきのイカがいそうな場所を見極めるのが上手いです
たとえば、藻場
沈み根
堤防の基礎
常夜灯周り
テトラ際
潮のヨレ
払い出し
ブレイク
ベイトが溜まりやすい小さな変化
こうした場所には、回遊してきたイカが一時的に足を止めたり、もともと周辺に付いているイカが潜んでいたりする可能性があります。ただし、居つきのイカは簡単ではありません
回遊直後の高活性なイカと違い、低活性だったり、警戒心が高かったり、何度もエギを見ていたりします。そういうイカは、派手にしゃくれば抱くというものではありません
エギのサイズを落とす
沈下速度を変える
カラーを変える
キャスト方向を変える
潮上から流し込む
フォールを長く取る
ラインテンションを抜く
逆に張り気味にして見せる
ボトム付近で移動距離を抑える
シャクリ幅を小さくする
こうした調整が必要になります。ここに、エギングの技術差が出ます
数キロ先まで届きそうな鬼シャクリをする人は、見た目には上手そうに見えるかもしれません。ショートジャークを連発する人も、いかにもエギングをしている雰囲気があります
それだけで難しいイカは釣れません
高活性のイカなら派手な動きに反応することもあります。ですが、低活性のイカやスレたイカは、強い動きを嫌うことがあります。エギを追ってきても、最後のフォールで違和感があれば抱きません。近くまで来て見切ることもあります
つまり、上手い人は「どう動かすか」だけではなく、「どう抱かせるか」を考えています
エギングで重要なのは、シャクリの派手さではなく、フォールでイカに抱かせる流れを作ることです。シャクリはエギを見つけさせるための動きであり、抱かせる中心はフォールになることが多いです
だから、毎回同じテンポでしゃくって、毎回同じようにフォールさせているだけでは、状況に合わせた釣りになりません
回遊待ちに依存している人は、釣れない時間を「イカが回ってこないから」と考えがちです
もちろん、本当に回ってきていない場合もあります。ですが、すべてをそれで片付けると上達しません
足元にイカがいたかもしれない
潮の緩い内側に付いていたかもしれない
沈下速度が合っていなかっただけかもしれない
通す角度を変えれば反応したかもしれない
シャクリが強すぎて嫌われていたかもしれない
そういう可能性を考えなくなることが、回遊待ち依存の一番の問題です
「釣れない理由」をすべて回遊の有無にしてしまうと、自分の釣りを検証できません
居つきのイカを狙う釣りは、毎回考えることが増えます
なぜここにイカがいると思ったのか
なぜこの角度で投げたのか
なぜこのエギを選んだのか
なぜこのフォール時間にしたのか
なぜ反応がなかったのか
次は何を変えるのか
この積み重ねが、エギングのレベルを上げます
とりあえず一杯釣ってみたい人なら、潮通しの良い人気ポイントで回遊待ちをするのはありです。特に初心者のうちは、釣れる経験がモチベーションになります。最初の一杯を釣るために、実績ポイントの朝まずめを狙うのは悪い選択ではありません
ですが、もっとコンスタントにアオリイカを釣りたいなら、そこから先へ進む必要があります
運良く回ってきたイカを釣るだけではなく、自分でイカの居場所を探し、自分でコースを組み立て、自分で抱かせる釣りを覚える必要があります
人が多い一級ポイントに入り、周囲に気を使いながら回遊を待つ釣りだけでは、自分の釣りを作りにくいです
それよりも、人が少ない場所で地形を観察し、藻場や沈み根を探し、潮の変化を見ながらエギを通す方が、失敗しても得るものがあります
たとえ釣れなかったとしても、「このコースは違う」、「この沈下速度では流されすぎる」、「この潮位だと藻に掛かる」、「この角度なら根の際を通せる」といった経験が残ります
この経験は、次の釣行で使えます
回遊待ちでたまたま釣れた一杯は、再現が難しいことがあります。しかし、自分で考えて釣った一杯は、次の一杯につながります
エギングで釣れない人は、必ずしもキャストが下手なわけでも、シャクリが下手なわけでもありません。むしろ、見た目だけなら上手そうに見える人もたくさんいます
それでも釣果が安定しない人は、回遊待ちに依存しすぎている可能性があります
潮通しの良い場所に立つことが目的になり、イカを探す視点が弱くなっている
時合を待つことが目的になり、エギをどう通すかが雑になっている。釣れない理由を回遊のせいにして、自分の釣りを検証できていない
こうなると、エギングの成長は止まりやすくなります。エギングが上手くなりたいなら、回遊待ちを卒業するというより、回遊待ちだけに頼る状態から抜け出すことが大切です
回遊も狙う
居つきも探す
地形も見る
潮も見る
エギのサイズや通し方も考える
シャクリのバランス
フォールの質も調整する
このように釣りの組み立てを増やしていくことで、運任せだったエギングが、自分で釣果を作るエギングに変わっていきます。釣れた一杯を「たまたま」で終わらせるのか
それとも「次も狙って釣れる一杯」に変えていくのか。その差が、回遊待ちに依存する人と、コンスタントに釣る人の大きな違いです
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