エギングでは、ロッドを勢いよく振り上げてエギを激しく動かしている人をよく見かけます。大きな音を立てながら連続してシャクっている姿は目立つため、初心者から見ると「強くシャクれる人ほどエギングが上手い」、「エギは激しく動かした方がイカに見つけてもらえる」と感じるかもしれません
しかし、激しくシャクれば本当にイカが釣れるのでしょうか。三崎港・城ヶ島エリアを中心に年間250〜300回エギングを行い、年間平均200杯以上のイカを釣ってきた経験では、強いシャクリだけで釣果が決まったと感じる場面は多くありません
ただし、「激しくシャクると釣れない」と断定するのも誤りです。強く鋭いシャクリはエギを大きく跳ね上げ、離れた場所にいるイカへ存在を知らせるための有効な動作であり、ダイワやシマノの基本解説でも、エギを鋭く跳ね上げてアピールする動作が紹介されています
問題になるのは、状況を確認せず、最初から最後まで同じ強さとテンポで激しくシャクり続けることです。激しいシャクリが効いたのか、活性の高いイカが回ってきたのか、エギが偶然ヒットコースへ入ったのかを分けて考えなければ、釣れた本当の理由は見えてきません
激しいシャクリで釣れる場面はある
激しいシャクリには、エギを底から一気に持ち上げ、大きな上下動や左右へのダートを発生させる役割があります。活性の高いアオリイカが入っているとき、広い範囲からイカを寄せたいとき、深場からエギを持ち上げたいときには、強く鋭いシャクリが反応を引き出すことがあります
秋の新子が活発にベイトを追っている場面や、潮通しのよい場所へ回遊してきたイカを探す場面では、速いショートジャークや強めの2〜3段シャクリが効果を出すこともあります。エギを大きく動かすことで、イカにエギの存在を気付かせ、追わせるきっかけを作れるためです
水深がある場所や潮が速い場所では、弱いシャクリではエギが十分に持ち上がらず、底付近を少し移動するだけになることがあります。根や海藻をかわしながらエギを上のレンジへ持ち上げたいときにも、ある程度強い入力が必要です。実際にダイワのロッド解説でも、深場や藻場でハードジャークを使う場面が想定されています
したがって、強いシャクリそのものが悪いわけではありません。強いシャクリを使う目的があり、その後にイカが抱けるフォールを作れているなら、釣果につながる正しい誘い方になります
「激しくシャクったから釣れた」とは限らない
強いシャクリを入れた直後に釣れると、激しい動きが決め手だったと考えたくなります。しかし、実際にはシャクリ以外の条件が同時に変化しているため、釣れた理由をシャクリだけに絞ることはできません
潮が動き始めた、ベイトが入ってきた、イカの群れが回遊してきた、エギが潮の変化へ入った、狙うレンジが偶然合ったという可能性もあります。特に回遊性のあるイカを狙う場合は、それまで反応がなかった場所でも、群れが入った直後から連続して釣れることがあります
そのタイミングで激しくシャクっていたとしても、弱いシャクリやただ巻きで釣れなかったとは限りません。活性の高いイカがエギの近くへ回ってきたことで、強いシャクリにも反応したと考える方が合っている場面もあります
三崎港や城ヶ島では、同じ釣り座から投げ続けていても、潮の向きや速さによって反応が出る時間が変わります。1杯釣れたときはシャクリの強さだけでなく、キャスト方向、着水地点、沈めた秒数、潮の向き、抱いたレンジまで確認しなければ再現性は高まりません
強いシャクリが逆効果になることもある
三浦半島のように釣り人が多く、繰り返しエギを見ているイカが残りやすい場所では、強いシャクリを連発すると反応が遠のくことがあります。エギを追ってきても距離を詰めない、フォールへ入った瞬間に離れる、触腕を伸ばさず反転するといった反応が出る場合です
強いシャクリを何度も繰り返すと、エギは大きく移動します。イカがいたレンジから急速に離れたり、狙っていた根や海藻の上を通過したりするため、せっかくイカがエギを見つけても抱く前に捕食範囲から外れることがあります
浅い場所では、強くシャクることでエギがすぐに表層付近まで上がり、狙える距離が短くなります。正面から強い風を受ける場面や横風が強い場面では、余分な糸フケが出ることでエギの動きやフォール姿勢が安定しない場合もあります
シマノは、アオリイカがエギへ抱き付くのは主にフォール中であり、沈下姿勢が不自然になると警戒して抱かないことがあると解説しています。YAMASHITAも安定したフォール姿勢の重要性を検証しており、強く動かすことだけでなく、シャクリ後にどのような姿勢で沈むかが釣果へ関係します
大切なのはシャクリの強さではなく変化
エギングで必要なのは、最も強いシャクリを続けることではなく、イカの反応に合わせて動かし方を変えることです。強く動かして反応が出たなら続ければよく、追ってくるだけで抱かないなら、移動距離やシャクリの回数を減らします
大きく跳ね上げる1〜3段シャクリ、細かく動かす4〜6段のショートジャーク、弱い1段シャクリ、ロッドをほとんど動かさないただ巻きなどを組み合わせます。シャクリの回数だけでなく、シャクリ後のフォール時間やラインテンションも変えることで、イカが反応する動きを探せます
同じ場所へ同じエギを投げる場合でも、毎回同じ誘いを繰り返す必要はありません。最初は大きく動かして周囲のイカへ気付かせ、次のキャストでは移動距離を抑え、フォールを長く取って抱かせる方法もあります
強い動きと弱い動きには、それぞれ役割があります。強いシャクリは広く探したり、エギを見つけさせたりするために使い、弱いシャクリやフォールは追ってきたイカに抱かせるために使うと、誘いの目的が明確になります
1〜3段シャクリからのフリーフォール
1〜3段シャクリは、エギを上方向へ大きく跳ね上げ、縦方向の変化を作る動かし方です。水深のある場所、底付近にいるイカへエギを見せたい場面、根や海藻からエギを離したい場面で使いやすくなります
大切なのは、シャクリの強さだけではなく、シャクリ後にフリーフォールへ移行することです。シャクリでエギを見つけさせ、ラインを張りすぎず自然に沈めることで、イカがエギとの距離を詰めて抱く時間を作ります
フリーフォール中はラインが緩むため、手元へ明確なアタリが伝わらないことがあります。ラインが途中で止まる、急に緩む、沈んでいたラインが横へ走る、予定より早く着底したように見えるといった変化を確認します
強い1〜3段シャクリを入れても、その直後にロッドを動かし続けたり、すぐ次のシャクリを入れたりすると、イカが抱く時間を消してしまいます。シャクリは見つけさせる動作、フォールは抱かせる動作として分けて考える必要があります
4〜6段のショートジャークからのテンションフォール
4〜6段のショートジャークは、ロッドを大きく振り上げるのではなく、細かくシェイクするような感覚でエギを連続して動かします。エギを左右へ細かくダートさせ、小魚やエビが逃げるような動きを作る方法です
活性の高い秋のアオリイカ、ケンサキイカ、速い動きへ反応する個体には、細かく速い動きが効くことがあります。ただし、ショートジャークを長く続けるほどエギの移動距離も増えるため、反応がない場合は4回程度で止め、フォールへ移す方法も試します
ショートジャーク後のテンションフォールでは、ラインを軽く張りながらエギを沈めます。フリーフォールよりも手前へ寄りながら沈みやすくなりますが、ラインを通じてアタリを確認しやすく、風がある場面でもエギの位置を把握しやすくなります
速い動きから急に安定したフォールへ移る速度差が、追ってきたイカに抱くきっかけを与えることがあります。ショートジャークの激しさだけを見るのではなく、どの位置で動きを止め、どれだけフォールさせるかまで含めて1つの誘いになります
シャクらないただ巻きでもイカは釣れる
エギングは必ずシャクらなければ釣れないわけではありません。DUELの実釣解説でも、状況によってはシャクリとフォールより、ただ巻きの方がアオリイカへ効果を出す場合があることが紹介されています
ただ巻きではエギを激しく跳ねさせず、一定のレンジを横方向へ通せます。大きな動きを嫌っているイカ、エギの後ろまで追っても抱かないイカ、横方向へ移動するベイトを意識しているイカに対して試す価値があります
ゆっくりしたただ巻きや、ただ巻きの途中に短いフォールを入れる方法でも反応が出ます。アオリイカでも、強いシャクリを繰り返した後にただ巻きへ変えると、追尾していた個体がそのまま抱くことがあります
ただ巻きで釣れる事実からも、シャクリの激しさがエギングの中心ではないことが分かります。イカがいるレンジへエギを入れ、イカが追える速度と抱ける姿勢で通すことの方が重要です
シャクリ方が釣果を左右する割合は15%程度
年間250〜300回の釣行を繰り返してきた私の感覚では、釣果を構成する要素のうち、シャクリ方単独が占める割合は15%程度です。この数字は科学的な統計値ではなく、三崎港・城ヶ島エリアでの釣行経験をもとにした目安です
シャクリ方はイカへエギを見つけさせ、反応を確認するために必要です。しかし、イカがいない場所で理想的なシャクリを続けても釣れず、イカがいる場所へ適切なエギを通せば、弱いシャクリやただ巻きでも釣れます
釣果への影響が大きいのは、ポイント選択、回遊する時間、エギを通すコース、レンジ、エギのサイズ、フォールスピード、カラーなどです。これらが合っていない状態でシャクリだけを変えても、釣果が大きく改善しないことがあります
反対に、潮が効いている場所を見つけ、イカが通るコースへエギを入れ、狙う水深に合った沈下速度を選べれば、難しいシャクリを使わなくても釣れる可能性は上がります。エギングの上手さは、派手なロッド操作ではなく、釣れる条件を見つける判断に表れます
ポイント選択はシャクリ方より重要
イカを釣るには、イカがいる場所か、イカが回遊してくる場所へエギを入れる必要があります。どれだけ強く鋭くシャクっても、イカがいない場所では反応は出ません
三崎港や城ヶ島では、潮通しのよい場所、船道、カケアガリ、沈み根、海藻の切れ目、常夜灯の明暗などが狙いになります。ただし、毎回同じ場所にイカがいるわけではなく、潮位、潮向き、風、ベイトの位置によって反応する場所が変わります
私は反応が確認できなければ、20~30分程度を目安に移動するランガンを基本にしています。活性の高いイカが入っていれば数投で反応することが多く、反応のない場所でシャクリ方だけを変え続けるより、イカとの遭遇率を上げる方が釣果につながるためです
一方で、潮が動く時間や回遊コースを把握している場所では、移動せずに待つ方法が有効です。ランガンと回遊待ちのどちらを選ぶかも、シャクリの強弱より釣果へ大きく影響します
エギのサイズとフォールスピードを合わせる
同じ強さでシャクっても、2.5号と3.5号では水中での動き、移動距離、沈下速度、発生する波動が異なります。小型のエギは細かく軽快に動かしやすく、大型のエギは存在感があり、潮の中でも狙ったレンジへ入れやすくなります
秋の小型アオリイカやケンサキイカには2〜2.5号が合う場面があり、春の大型アオリイカや水深のある場所では3.5号を中心に使います。ただし、号数だけでなく、ノーマル、シャロー、スーパーシャロー、ディープなどの沈下速度まで確認する必要があります
警戒心の高い大型イカや潮が緩い場面では、ゆっくり沈むエギを長く見せる方法が効果を出すことがあります。シマノも、スローフォールが警戒心の強い大型イカや活性の下がった状況に有効になると解説しています
潮が速いのに沈下の遅いエギを使えば、狙った場所へ到達する前に流されます。浅い場所で沈下の速いエギを使えば、フォール時間が短くなり、根掛かりも増えます。シャクリを変える前に、エギが狙ったレンジへ入っているかを確認する必要があります
カラーより先にエギの位置を確認する
カラー交換もエギングでは重要ですが、どの色を使ってもイカのいない場所やレンジから外れた場所を通していては釣れません。カラーを変える前に、エギが潮の中でどの方向へ流され、どの深さを通っているかを確認します
澄み潮、濁り潮、月夜、闇夜、朝夕、常夜灯の有無によって見え方は変わります。ケイムラ、赤テープ、金テープ、ベイト系などを交換し、反応の違いを確認することは有効ですが、カラーだけで釣果を説明しない方が再現性は高まります
エギを交換すると、色だけでなくサイズ、重量、フォール姿勢、沈下速度が同時に変わる場合があります。交換直後に釣れたときは、カラーが効いた可能性に加え、沈下速度や通したコースが合った可能性も考えます
エギ選びでは、イカから見える色だけでなく、狙う場所へ届くか、潮の中で安定するか、抱かせたいレンジを維持できるかまで確認します。カラーは重要な要素ですが、位置とレンジが合った後に生きる要素です
エギを通すコースで釣果は変わる
同じ釣り座から投げても、正面、右、左では潮の受け方や海底地形が異なります。イカが沈み根の横、船道の端、海藻の切れ目、潮の緩む場所に付いている場合、数mコースが変わるだけで反応がなくなることがあります
横風が吹いていると、着水地点から真下へエギが沈むとは限りません。ラインが風に押され、エギは斜め方向へ引かれながら沈むため、正面へ投げたつもりでも別のコースを通ります
潮が右から左へ流れている場合も、エギは沈みながら左へ移動します。潮上へ投げて狙う場所へ流し込むのか、潮下へ投げて長く同じ流れへ入れるのかによって、ヒットする位置が変わります
1杯釣れたときは、シャクリの強さより、どこへ投げてどちらへ流され、何秒沈めた後に抱いたかを記憶します。同じコースとレンジを再現できれば、回遊している別のイカや同じ群れを続けて狙えます
激しくシャクる人が上手いとは限らない
激しいシャクリは見た目に分かりやすいため、力強くロッドを操作する人ほど上手く見えることがあります。しかし、水中のエギがどの方向へ動き、どのレンジを通り、どの姿勢でフォールしているかは、陸上の動作だけでは判断できません
三浦半島のような釣り人の多い地域では、強いシャクリを続けているだけで安定して釣果を出す人を、少なくとも私は知りません。安定して釣る人ほど、潮の変化、風、ベイト、レンジ、エギの沈下速度を確認し、強く動かす場面と動かさない場面を使い分けています
上手い人は、強いシャクリが必要なら強く動かし、不要なら弱くします。追ってきたイカが抱かなければ移動距離を抑え、底で反応がなければ中層を探り、同じ場所で反応が続かなければ移動します
シャクリの強さを競うのではなく、イカの反応に合わせて操作を変えられることが重要です。ロッドを激しく振る技術よりも、エギが水中のどこにあり、イカがどの動きへ反応したかを判断する力が釣果を安定させます
激しくシャクれば釣れるは幻想なのか
激しいシャクリでイカが釣れることはあるため、「激しくシャクっても釣れない」という考え方も正しくありません。活性の高いイカ、深場、速い潮、広く探したい場面では、強く鋭いシャクリが有効です
幻想に近いのは、「激しくシャクるほど釣れる」、「強く動かせば低活性のイカも反応する」、「派手にシャクれる人ほど上手い」という考え方です。強い動きは複数ある選択肢の1つであり、どの状況でも使い続ける万能な方法ではありません
強い1〜3段シャクリからフリーフォールへ移す、4〜6段のショートジャークからテンションフォールへ入れる、シャクリを止めてただ巻きへ変えるなど、動きの差を作ることが重要です。シャクリの強さだけでなく、動かした後にイカが抱ける時間を作らなければ釣果にはつながりません
三崎港・城ヶ島エリアで安定してイカを釣るには、激しいシャクリへ頼るより、ポイント選択、ランガンと回遊待ちの判断、エギのサイズ、フォールスピード、カラー、潮流と風を考えたキャスト方向、エギを通すコースを組み合わせる必要があります
シャクリ方が釣果へ影響する割合は、私の経験では15%程度です。残りの多くは、イカがいる場所を選び、イカがいるレンジへ、その状況に合ったエギを通せるかどうかで決まります
激しいシャクリを否定する必要はありません。ただし、強くシャクって釣れなければ、さらに強くするのではなく、弱くする、回数を減らす、フォールを長くする、ただ巻きへ変える、投げる方向を変える、エギを交換する、ポイントを移動するといった変化が必要です
エギングで大切なのは、激しくシャクることではなく、強い動きと弱い動きを使い分け、イカが抱ける条件を作ることです
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