三崎港・城ヶ島(三浦半島)で年間250~300回エギングをする筆者が解説します
エギングでは、3~3.5号のベーシックタイプが基本とされることが多く、フォールスピードは1m沈むまで約3~4秒がひとつの基準になっています。飛距離、操作性、アピール力、沈下速度のバランスが取りやすく、初めて入る釣り場で海中の状況を探るには使いやすいエギです
しかし、3~3.5号のベーシックタイプが、常に最も釣れるわけではありません。大きいアオリイカやコウイカを狙うなら、大きいエギを使うほど有利になるという考え方も正確ではありません
実際に三崎港や城ヶ島では、2~2.5号のエギで800g以上のアオリイカとコウイカを毎年15~25杯釣っています。小さいエギを使ったから偶然大きいイカが掛かったのではなく、3~3.5号へ反応しない状態を見て、エギのサイズとフォールスピードを落とした結果です
エギを選ぶときに基準にしたいのは、イカの重量ではありません。そのときの活性、エギを追う速さ、距離の詰め方、抱くまでに必要な時間を見て、エギの大きさと沈下速度を決めるほうが釣果につながります
大型のイカは大型の餌だけを選んでいない
大型のアオリイカは、大きな魚や甲殻類を捕らえられる力を持っています。しかし、捕食できる最大サイズの餌だけを選んで食べているわけではありません
アオリイカの捕食行動を調べた研究では、餌となる魚の全長が、アオリイカの外套背長の半分以下の場合によく捕食する傾向が確認されています。外套背長30cmのアオリイカで考えれば、全長15cm以下の魚は捕食しやすい範囲に含まれます
2号のエギは約6cm、2.5号は約7.5cm、3号は約9cm、3.5号は約10.5cmです。大型のアオリイカから見れば、2~3.5号はいずれも十分に捕食できる大きさであり、2号や2.5号だから小さ過ぎて反応しないとは考えにくい範囲です
大型のイカは大きい餌しか食べないという考え方が正しいのであれば、800g以上のアオリイカが2~2.5号を抱くことはほとんどないはずです。実際の釣り場では、大型のアオリイカも小型のエギを追い、触腕を伸ばし、胴体まで抱き込みます
大きいエギで大型の割合が高くなることはあります。ただし、それだけで大型のイカが大きいエギを好んだとは判断できません
比較的大きな餌木を使った釣りでは、アオリイカが大きくなるほど漁獲されやすくなる選択性が確認されています。ここで考える必要があるのは、大型だけが大きいエギへ集まった可能性だけではなく、小型のアオリイカが大きいエギを抱き切れず、釣果から外れた可能性です
小型のアオリイカは、大きいエギへ近づいても、胴体を抱え切れなかったり、触腕がカンナまで届かなかったりします。大型のアオリイカは、大きいエギも小さいエギも抱けるため、大きいエギを使うと釣果の中から小型が減り、平均サイズが上がって見えます
これは、大きいエギが大型だけを選んで呼び寄せた結果とは限りません。小型を釣果から外しやすい性質によって、結果的に大型の割合が高くなったとも考えられます
春に3.5~4号で大型が釣れ、秋に2.5~3号で小型が釣れることが多いのも、エギの大きさだけが理由ではありません。春は大型のアオリイカが接岸しやすく、秋は当年生まれの小型が多いため、釣り場にいるイカの大きさ自体が異なります
春に大きいエギを使う人が増え、秋に小さいエギを使う人が増えれば、大きいエギで大型、小さいエギで小型という釣果記録も増えます。しかし、春の大型が2.5号を抱くことも、秋の小型が3.5号を抱くこともあります
イカの大きさとエギの大きさには一定の関係が見えることがありますが、それだけで釣れる理由を説明することはできません
エギのサイズはイカの活性で決める
活性が高いアオリイカは、エギを見つけると離れた場所から速い速度で近づいてきます。シャクった直後に距離を詰める、速いフォールにも遅れず追従する、複数のイカが競うようにエギへ近づくといった反応が見られます
この状態では、大きいエギと速いフォールを生かしやすくなります。大きなシルエットは遠くから発見されやすく、重量があるため飛距離も出しやすくなります。速く沈めてもイカが追いつけるため、広い範囲を短時間で探れます
活性が高ければ、イカが小さくても3.5号へ反応します。秋の小型アオリイカが、自分の胴体に近い大きさのエギを追い続けることも珍しくありません。小型だから小型エギでなければ釣れないのではなく、追う力と捕食意欲があれば、大きいエギにも反応します
反対に、活性が低いアオリイカは、大型であっても3~3.5号へ反応しないことがあります。エギを見つけても一定の距離を保つ、フォール中に近づいても途中で止まる、シャクった瞬間に離れる、触腕で触るだけで抱き込まないといった反応です
この状態で大きく速く動くエギを投げ続けても、イカが追いつけないか、動きを警戒して最後まで抱かないことがあります
2~2.5号へ替えると、シルエットが小さくなるだけでなく、1回のシャクリで移動する距離も短くなります。フォールスピードの遅いタイプを選べば、イカの前にエギが残る時間も長くなり、ゆっくり近づく個体が触腕を伸ばせる状態を作れます
小さいエギを使う目的は、小さいイカに合わせることではありません。追う速度が遅くなったイカに、追いつける距離と時間を与えるためです
三崎港や城ヶ島で800g以上のアオリイカを2~2.5号で釣る場面でも、最初から小型エギだけを投げ続けているわけではありません。3~3.5号への追い方を見て、距離を詰めない、フォールに追いつけない、着底までに抱かないと判断したときに、サイズと沈下速度を落とします
エギを替えた直後に同じ個体が近づき、フォール中や着底直前に抱くことがあります。この反応は、大型のアオリイカが大きいエギを必要としているのではなく、そのときに追える大きさと速さへ反応していることを示しています
活性が高いイカには、大きく速いエギが使いやすく、活性が低いイカには、小さくゆっくり沈むエギが使いやすくなります。イカの大きさで号数を固定するのではなく、反応を見て調整することが重要です
同じ号数でもフォールスピードは大きく違う
エギを選ぶときは、サイズとフォールスピードを分けて考える必要があります。3.5号だから速く沈み、2.5号だからゆっくり沈むとは限りません
同じ3.5号でも、ディープタイプは1mを約2秒前後で沈み、ベーシックタイプは約3~4秒、シャロータイプは約6秒かかる製品があります。号数が同じでも、沈下時間には3倍近い差が生まれます
大型のアオリイカが3.5号のベーシックタイプを抱かないとき、3号へ小さくするだけでは反応が変わらないことがあります。嫌がっている原因がシルエットではなく、沈む速さやフォール角度にある場合があるためです
反対に、2.5号へ落としたことで釣れたとしても、小さい見た目だけが効いたとは限りません。フォールスピードが遅くなり、エギの移動距離が小さくなり、イカが追いつく時間が生まれたことが釣果へつながった可能性があります
シルエットを変えずに沈下速度だけを変えたい場合は、同じ号数のシャロー、ベーシック、ディープを使い分けます。見た目を小さくしたまま深く沈めたい場合は、2~2.5号へシンカーを追加する方法があります
低活性だから必ず小型のシャロータイプを使えばよいわけではありません。潮が速い場所や水深のある場所では、軽いエギがイカのいる層へ届かず、釣れる可能性のある個体の頭上を通り続けることがあります
この場合は、小型のディープタイプを使う、シンカーを追加する、3~3.5号のシャロータイプで大きなシルエットを保ちながらゆっくり沈めるなど、サイズとフォールスピードを別々に調整します
活性が低いイカに必要なのは、単純に遅く沈むエギではありません。イカのいる場所まで届いたうえで、その個体が追いつき、抱き込める速度で動くエギです
風が強い場合も、軽くゆっくり沈むエギが有利とは限りません。ラインが風に押されると、エギが横方向へ引っ張られ、フォール姿勢が崩れます。小さいエギへシンカーを追加するか、重量のあるタイプへ替え、海中でエギを安定させる必要があります
号数だけを見て選ぶと、イカが反応しない原因を見落とします。エギの大きさ、沈む速さ、フォール角度、1回の操作で移動する距離を分けて考えることで、その日の反応へ近づけます
コウイカはエギの大きさより底を通せるかが重要
コウイカでも、大きい個体には大きいエギが必要という考え方は当てはまりません
コウイカは砂泥底付近に身を潜め、魚、エビ、カニなどを捕食します。岸から狙う場合は、エギを確実に着底させ、底から大きく離さずに動かすことが基本です
コウイカ狙いでは、2.5~3号のエギが一般的に使われています。水深がある場所や潮が流れる場所では、エギを3.5号や4号へ大きくするだけでなく、小型エギへオモリを追加して底を取る方法があります
これは、コウイカの大きさに合わせてエギを大きくするのではなく、コウイカがいる底へエギを届けるために重さを調整している状態です
三崎港や城ヶ島でも、800g以上のコウイカが2~2.5号を抱きます。大型だから大きいエギを選んでいるのではなく、底付近を通る捕まえやすい対象へ反応しています
コウイカの活性が高いときは、底から少し離れたエギを追ったり、大きく動かした直後に抱いたりします。活性が低いときは、エギを大きく跳ね上げても追わず、底付近で小さく動かし、長く止めたときに抱くことがあります
大きいエギを使ってコウイカが釣れた場合も、大きいシルエットが大型個体に効いたとは限りません。エギが重くなったことで底を取りやすくなり、コウイカの目の前を通せた可能性があります
反対に、2.5号へ替えて釣れた場合は、小さいシルエットだけでなく、動く幅が小さくなり、底付近へ長く残せたことが関係している可能性があります
コウイカでは、アオリイカ以上に底との距離が釣果へ影響します。大きさを合わせることより、底を外さず、抱ける速度で見せることが重要です
大きいイカを釣るために見るべきもの
3~3.5号のベーシックタイプは、エギングを始める基準として使いやすいエギです。しかし、それだけを投げ続ければ正解になるわけではありません
大きいアオリイカやコウイカは、大きいエギだけを選んで抱いているわけではありません。大型のイカも小さい餌を捕食し、2~2.5号のエギを十分に捕らえられます
大きいエギで大型の割合が上がる場合も、大型だけが大きいエギを好んだとは限りません。小型が抱き切れず、釣果から外れた結果として、平均サイズが上がっている可能性があります
エギを決める基準は、イカの重量よりも活性です。勢いよく追い、速いフォールにも追いつくなら、大きいエギや速く沈むエギで広く探れます。距離を詰めない、途中で追うのをやめる、触るだけで抱かない場合は、小さいエギと遅いフォールで、追いついて抱ける時間を作ります
サイズとフォールスピードも、別々に考える必要があります。同じ3.5号でも沈む速さは大きく異なり、小さいエギへ重さを加えれば、シルエットを抑えたまま深い場所を狙えます
大きいイカを釣るために、大きいエギを投げ続ける必要はありません。その日のイカが、どの大きさなら警戒せず、どの速さなら追いつき、どのフォールなら抱けるのかを見つけることが重要です
イカの大きさにエギを合わせるのではなく、イカの活性にエギのサイズとフォールスピードを合わせる。その考え方を持つことで、3~3.5号のベーシックタイプだけでは拾えなかったアオリイカやコウイカを狙えるようになります
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