三浦半島で年間250~300回エギングをする管理人がベイトエギングについて忖度無しで解説します
数年前に半年ほどベイトエギングを導入しましたが先に結論を書くと少なくとも三浦半島でエギングをするならメインでベイトエギングをするのは無しだと思いました
ベイトエギングのメリット
ベイトエギングには、スピニングタックルでは味わえないキャストの楽しさがあります。クラッチを切り、エギの重さをロッドへ乗せ、回転するスプールを親指で調整しながら投げるため、1投ごとにタックルを操作している感覚があります
近距離の狙った場所へエギを入れるキャストや、クラッチを使ってラインを少しずつ送り出すドリフトも、ベイトリールと相性のよい使い方です。広い範囲を遠投して探るより、投げる距離とエギを流す位置を細かく調整する場面でメリットを感じます
近年は専用ロッドや細いPEラインに対応したベイトリールも登場し、以前よりベイトエギングへ挑戦しやすくなりました。昔の汎用ベイトロッドを流用する釣りとは異なり、現在はエギをキャストしてシャクることを前提にタックルを組めます
キャストしていて楽しい
ベイトエギングを半年ほど続けた大きな理由は、エギを投げること自体が楽しかったからです。スピニングタックルでは自然に行っていたキャストも、ベイトタックルへ持ち替えるとブレーキ設定、ロッドの曲げ方、スプールの回転、着水前のサミングまで考えるようになります
エギの重さに合わせてブレーキを調整し、バックラッシュを起こさず狙った位置へ投げられた時には、イカを釣ることとは別の満足感があります。普段と異なるタックルを使うことで、通い慣れた釣り場でも新鮮な気持ちでキャストを続けられます
ベイトリールが好きな人にとっては、釣果だけでなく、クラッチを切って投げ、スプールを親指で制御する一連の動作も楽しみになります。効率だけでは測れない操作感は、ベイトエギングを選ぶ理由の一つです
漁港や磯のタイドプールのピン打ちに向いている
漁港内の船等の障害物付近を狙う場合や干潮時に磯のタイドプールに残ったイカを狙う時はピン打ちが出来るベイトリールのキャスト性能を生かせます。キャスト中にスプールへ親指を当てれば、エギの飛ぶ速度を落としながら着水位置を調整できます
アンダーキャストやサイドキャストを使いやすいこともメリットです。頭上や背後に広い空間がない場所でも、ロッドを大きく振り回さず、低い弾道で近距離へエギを送り込めます
ドリフト釣法ではラインを送りやすい
エギを潮へ乗せながら流すドリフトでは、ベイトリールのクラッチとスプールを使ったライン操作が役立ちます。クラッチを切ってスプールへ軽く親指を当てると、ラインを一気に放出せず、必要な分だけ少しずつ送り出せます
スピニングリールでベールを開くと、風や潮にラインを引かれて想定以上の糸ふけが出ることがあります。ベイトリールでは親指の力を強めればラインの放出を遅くでき、そのままスプールを押さえれば止められます
潮目、払い出し、堤防の角、岬の先端などで、キャストした場所からエギを潮下へ送り込みたい時に使いやすい操作です。Fishmanのベイトエギング専用ロッドを使った実釣報告でも、クラッチ操作によるラインの送り込みや、漁港、テトラ周辺、ボートからの使用がベイトタックルの利点として挙げられています
ラインを送り出した後は、緩んだ状態のままスプールへ巻き取らないようにします。軽くテンションを掛けて回収しなければ、スプール上のPEラインが緩み、次のキャストでラインが食い込む原因になります
専用タックルの登場で以前より扱いやすくなった
以前のベイトエギングは、バスロッドやソルト用の汎用ベイトロッドを流用する方法が中心でした。ロッドの長さ、曲がり方、グリップ形状がエギングへ合わず、キャストできてもシャクリにくいタックルが少なくありませんでした
Fishmanはベイトエギング専用ロッドのBeams calmer8.0MLとBeams calmer8.6Mを発売しています。メーカーは、専用設計によってエギをシャクリやすく動かしやすいことに加え、クラッチを使ったラインの送り込み、漁港やボートでの使用、3号以上のエギを使った遠投などを特徴として挙げています
リールも細いPEラインを使うソルトゲームへ対応する方向に進化しています。ダイワのシルバーウルフCT SV TW PE SPECIALはエギング専用機ではなくチニング向けですが、30mm径のPE専用スプールとTWSを搭載し、PE0.6号を150m、PE0.8号を120m巻ける仕様です。自重も160gに抑えられ、従来より細いPEラインと軽量ルアーを扱いやすい構成になっています
専用ロッドやPE対応リールを使えば、数年前に汎用タックルで行っていたベイトエギングより快適になる可能性があります。ただし、タックルの進化によって改善されるのは、ロッドのシャクリやすさ、スプールの立ち上がり、ラインの放出抵抗、ブレーキの制御などです。エギの形状や空気抵抗が変わるわけではないため、専用タックルを使えばスピニングタックルと同じ感覚で投げられるとは考えていません
ベイトエギングのデメリット
ベイトエギングで問題になるのは、エギが飛ばないことと、バックラッシュなどのトラブルが増えることです。どちらもキャスト回数を重ねて慣れれば軽減できますが、エギの形状とベイトリールの構造が変わらない以上、完全にはなくなりません
特に細いPEラインを使用するエギングでは、軽いバックラッシュが次のキャストで高切れにつながる場合があります。釣りを続けながら常にスプール上のライン状態を確認しなければならず、スピニングタックルより気を使う場面が増えます
エギはベイトリールと相性がよくない
同じ20gのルアーでも、金属の塊に近いメタルジグと、樹脂製のボディを持つエギでは飛び方が異なります。メタルジグは重量に対して体積が小さく、重さが狭い範囲へ集中しているため、空気抵抗を受けにくく、キャスト後も前方へ伸びていきます
エギは樹脂製のボディに布が巻かれ、羽根、シンカー、カンナが付いています。重量の割に体積と空気を受ける面積が大きく、同じ重さのメタルジグやバイブレーションのようには飛びません
ベイトリールは、飛んでいくルアーがラインを引き出す力によってスプールが回転します。エギがラインを引き出す速度よりスプールの回転が速くなると、余ったラインがスプール上で膨らみ、バックラッシュにつながります
ブレーキを強く設定すればスプールの回転を抑えられますが、その分だけ飛距離が落ちます。飛距離を伸ばすためにブレーキを弱くすると、スプールの回転を親指で細かく調整しなければならず、キャストごとの失敗も増えます
キャスト技術が足りないから飛ばないのではなく、ベイトリールで飛ばしやすいメタルジグなどと比べて、エギ自体の飛行性能が低いことが大きく影響しています
バックラッシュと高切れがストレスになる
ベイトエギングでは、キャスト直後にラインが大きく膨らむバックラッシュだけでなく、軽く浮いたPEラインがスプールの奥へ食い込むことがあります。表面のラインを引き出して直したつもりでも、内部に食い込みが残っていると、次のキャストでラインが急停止します
エギが飛んでいる途中で細いPEラインが止まれば、一部分へ強い負荷が集中し、高切れしてエギだけが飛んでいく場合があります。バックラッシュを解いた後は、目に見える絡みだけでなく、食い込んだ範囲までラインを引き出して確認しなければなりません
ダイワもPE0.6~0.8号へ20gを超えるルアーを結んでフルキャストするベイトゲームでは、高切れによるルアーの紛失や大きなライントラブルが問題になると説明しています。その対策としてPE専用スプールやTWSを採用していますが、これはトラブルが起こらないという意味ではなく、細いPEラインをベイトリールで扱う難しさを抑えるための機構です
Fishmanのベイトエギング実釣報告でも、バックラッシュした時に起こる高切れが課題として挙げられています。専用ロッドを使うことでキャストやシャクリが行いやすくなっても、ライトラインを使う以上、バックラッシュ後の確認は必要です
エギングではシャクリの後に糸ふけを作り、フォール中はラインを張り過ぎない状態を作ります。緩いPEラインをそのままスプールへ巻き取れば、次のキャストで食い込みやすくなるため、回収する時にもラインへ適度なテンションを掛ける必要があります
感度は決してよいとは言えない
ベイトリールはスプールへ親指を置けるため、フォール中の変化が指先へ伝わりやすく、感度がよいと言われることがあります。メーカーの実釣報告でも、ベイトエギング専用ロッドの特徴として感度やアタリの取りやすさが挙げられています
実際に半年ほど使用した範囲では、ベイトリールへ替えたことでアオリイカの小さなアタリが明確に増えたとは感じませんでした。周囲でベイトリールを使っている釣り人も同じ意見で、ベイトリールだからスピニングリールより感度が高いという評価には同意できません
スプールへ指を置いていれば、ラインの放出が止まったことや、潮の速さによって回転が変わったことは確認できます。しかし、イカがエギへ触れた感覚が毎回スプールを通して指先へ伝わるわけではありません
エギングのアタリは、ラインが横へ動く、急に緩む、フォールが止まる、ロッドへ重さが乗るなど、目と手で複数の変化を確認して判断します。感度はリールの種類だけで決まらず、ロッド、PEライン、エギ、水深、風、潮流、ラインの張り具合にも左右されます
ベイトリールの手返しのよさはエギングでは意味が薄い
ベイトリールはクラッチを切ってキャストし、ハンドルを回せば巻き取りへ移れます。スピニングリールのようにベールを戻す動作がないため、投げた直後からルアーを巻くバスフィッシングやシーバスでは、手返しのよさを生かせます
エギングでは、キャスト後にエギを沈め、着底を待ってからシャクリとフォールを繰り返します。水深や潮流によってはエギを沈めている時間が長くなり、1投全体に数分かかることもあります
キャスト後の操作がわずかに速くなっても、フォールに使う時間は変わりません。近距離へ投げて短いフォールで回収する場面を除けば、クラッチ操作の速さを理由にベイトタックルを選ぶほどの差は感じませんでした
三浦半島でメインにするのが厳しい理由
三浦半島では、数時間エギを投げてもアオリイカからの反応が数回だけという日があります。エギを投げれば簡単にイカが釣れる地域とは異なり、回遊してきた個体や短い時合いを逃さず狙う必要があります
潮が動き始めた時間にバックラッシュが起これば、ラインを解いている間はエギを投げられません。軽い食い込みを見落として次のキャストで高切れすれば、リーダーを結び直し、エギを付け直す時間も必要です
飛距離不足によって、沖の潮目、岩礁帯の先にある深み、海藻帯の外側へ届かないこともあります。遠投すれば必ず釣れるわけではありませんが、近距離で反応がない時に沖まで探れないことは、イカへエギを見せられる範囲が狭くなることを意味します
チャンスが多い場所なら、キャストの難しさやトラブルもベイトエギングの面白さとして受け入れられます。反応が少ない三浦半島では、釣果へつなげられる可能性を自分から下げてまで、ベイトタックルだけで勝負する必要はないと感じました
イカが多く釣れるエリアならあり
エギを投げれば比較的簡単にイカが反応し、1回失敗しても次のチャンスが残る地域なら、ベイトエギングは面白い釣り方です。スピニングタックルを使えば釣りやすい状況で、あえて扱いの難しいベイトタックルを使うことで、1匹を釣るまでの難易度を上げられます
サビキ釣りでアジを釣ることに慣れた後、より難しいアジングで1匹を狙う感覚に似ています。効率だけを考えれば簡単な方法がありますが、キャストやライン操作を自分で組み立てて釣った時の満足感を求めるなら、難しい方法を選ぶことにも価値があります
秋の小型アオリイカが港内へ多く入り、足元や近距離でも反応が続く状況であれば、遠投できないことによる影響も小さくなります。ベイトリールでエギを投げる面白さを味わいながら、失敗を含めて楽しめる条件です
最後に
ベイトエギングをメインにしないという考えは、ベイトリール自体を否定しているわけではありません。元々はバスフィッシングや雷魚狙いでベイトリールを使い、アブのヴィンテージ・アンバサダーをグラスロッドへ装着して、河川、沼、管理釣り場、ボートからピンポイントで狙ってきました
障害物の際へルアーを入れる時や、アンダーキャストで狭い場所へ送り込む時には、ベイトリールにしかない操作感と使いやすさがあります。重さのあるルアーを低い弾道で投げ、狙った場所の手前で止める釣りには現在でも積極的に使いたいタックルです
ベイトリールが好きだからこそ、エギングでも優れているように無理な理由を付けるつもりはありません。道具には得意な釣りと苦手な釣りがあり、エギングではスピニングタックルの方が合う場面が多く、ベイトリールは条件を選んで持ち出す方が楽しめます
ベイトリールの価値は、すべての釣りでスピニングリールを上回ることではありません。狙った場所へ投げる操作や、クラッチを使ってラインを送る釣りが必要になった時、その特徴を理解したうえで使うことにあります
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